キンカンのブログ

主にゲームや本の感想

バビロニア0話 振り返り

f:id:gurenraganda343:20190809080658j:image

 

2019年10月から放送開始予定のバビロニア

 

その前日譚、「バビロニア0話」がfgoフェスの会場で公開された。

 

このバビロニア0話だが、

会場限定公開かと思いきや、

なんとfgoアプリ内で視聴可能という良采配。

 

期間限定ではあるが、

会場に来れなかった人でも全員が見れるため、

まだ未視聴のマスターはチェックしよう。

 

当該アニメは、正直なところ、

一部をクリアしたユーザーのみが

楽しめる内容となっている。

 

一部をクリアしていないと、

ロマニの苦難が汲み取れず、

特異点の英霊たちがマシュへ向ける言葉も

また重みが違ってくると思われる。

 

以下、ダイジェスト形式で物語を振り返っていきたい。

 

f:id:gurenraganda343:20190809080701j:image

 

まず、マシュに英霊ギャラハッドが宿り、

彼が憤りを露わにするシーンから始まる。


f:id:gurenraganda343:20190809080705j:image

 

カルデア前所長も顔を出す。

オルガマリーとお揃い(?)の髪型が印象的。

 

f:id:gurenraganda343:20190809081840j:image
f:id:gurenraganda343:20190809081848j:image
f:id:gurenraganda343:20190809081835j:image

 

ロマニの尋常ではない苦難の道のり、

その一部が映像として観られる。

 

願いを叶えて間もなく人理の危機を感じ取り、

自らの願望を捨て、兎に角努力を重ねるその姿は、一部のラストを思い起こさせ、なんだか込み上げてくるものがある。


f:id:gurenraganda343:20190809081831j:image
f:id:gurenraganda343:20190809081845j:image

 

「無駄に出来る時間は1秒もないんだ」

 

華やかな夏の風物詩、花火。

一瞬それに気をとられるが、人理のために、あるいは自らが撒いてしまった火種の鎮火のために、彼は自分を律して前へ進む。

 

夏を楽しむ人々。

その賑やかで穏やかな背景が彼の重たい行動理由と対照的に描写され、なんとも胸にくる。

 

残り僅かである残された時間を無駄に使わないために、彼はその場を後にする。

 

彼にも花火に心を動かされ、民衆の浮かれた空気に浸る権利がある、あるいは与えられたはずなのに、彼にはそれを楽しむ余裕などなく、彼はただ研鑽を積むのみ。

 

f:id:gurenraganda343:20190809083421j:image

 

シーンはカルデアに移る。

様々な場所で経験を積んだロマニ、努力のひとは、カルデアでマシュの主治医を名乗り出る。

 

「マシュは英霊召喚の触媒として、ただ特異点に同行してくれればそれでいい。それ以上は望まないし、それ以上を望まれても困る」

 

という、無慈悲に聞こえるが、魔術師としてはごく当たり前の価値観で話す前所長の態度に、ロマニは怒りを、あるいは理不尽な現状を拳で抑え込む。

 

f:id:gurenraganda343:20190809083415j:image
f:id:gurenraganda343:20190809083411j:image

 

こうして、彼は、当時まだ10歳の幼いマシュと意思疎通を図りながら、関係を深めていく。

 

ここでは、

「先輩とは、教えを与える人のことではないのか」というマシュの考えに対して、彼は「意思を持って損が出来る人間」という考えを説く。

 

先輩の条件として新たな定義付けをしたのはロマニであり、その定義に当てはまったのが主人公であると認識させる重要なシーンだ。

 

デザインされた人形として製造されたマシュにとっての先輩とは、何も特別ではない「普通の人」であり、超人的な力で他者を蹂躙する強者ではなく、「普通に怒り」「普通に泣き」「他人との感情の間できちんと生きることの出来る」、そんな誰か。

 

知識を与える存在、教導する者。

そのような辞書から引用したような「先輩」ではなく、普通の出生や人間としての暮らしを当たり前のように獲得することが叶わない、

そんな運命を押し付けられたマシュにとっての先輩とは、人を思いやる心を持ち、理由はなくとも利他的に動ける「生き方」の先輩であるのではないか、と彼は穏やかに語る。

 

 

 

A.D.2012。

時は進み、ダヴィンチが登場。

 

f:id:gurenraganda343:20190809084852j:image
f:id:gurenraganda343:20190809084848j:image

 

「人類の未来を守るを守る?  この程度の設備でかい?」

「加えて、デミサーヴァント計画? 非効率かつ非人道的。美しさの欠片もない」

 

召喚されたダヴィンチは、想像以上に酷い現場に容赦なく指摘を浴びせる。

 

そんな彼女の言葉に対して、

「これが正しいわけがない」

と、素直に認めるロマニ。

 

彼は「自分たちのやり方は間違っていると正しく認識して、彼女と向き合っていくつもりだ」

と、決意を固めた表情で話す。

 

「ねえ、ロマニ。その道は、あまりにも」

 

ここでダヴィンチの言葉は切れてシーンが変わってしまうが、それが余計に彼女の後に続く言葉を連想させ、非常に切なくなる。

 

自らの願望を棄て、迫り来る人理焼却に備えて精神を摩耗させ、プレッシャーと責務で溺死しそうになりながらも、正しくない行動をしていると認識した上で現状を受け入れて、それでもなお進むなければならない。

 

そんな彼の自己犠牲にも似た生き方に、

ダヴィンチは憂いを隠せなかった。

 

 

 

再び時は進み、A.D.2014。


f:id:gurenraganda343:20190809084857j:image

 

まだ傀儡と化していないレフ教授に

マシュに関する相談を持ちかけるロマニ。

 

「彼女は、心も身体も出来るだけ無垢に、善良に、と育てられた」

 

「いずれ、どんな英霊にも受け入れられるように」

 

「あの子は、他人と自分を比べないのさ。

だから、他人を羨むことも恨むこともない」

 

「誰かが笑顔でいる時の空気が好きだ。

見ていて嬉しいのだと、そう言っていたよ」

 

マシュという人格や性質を改めて認識することができるレフ教授の言葉。

彼も傀儡と化す前は、彼女のことを観察して知ろうとし、その行く末を憂いていた。

 

「無垢と言えば聞こえは良いが、人類史の汚濁を体験してなお、人類を良しと言えるのか。

それだけが、ちょっとした心残りなのさ」

 

f:id:gurenraganda343:20190809093803j:image
f:id:gurenraganda343:20190809093807j:image

 

聖杯戦争

そこで勝利した夢から覚醒すると、前所長に銃を向ける何者かが現れる。

 

「5分遅刻だ。君にしては珍しいな」

 

カルデアスを止めろと脅迫された彼は銃を手に取り、カルデアスと自分の命を天秤にかけて、どちらを優先するかは決まっている、と自害。

 

ここで前所長に銃を向けた何者かの正体は明かされず、謎は残ったままとなった。

 

 

 

更に時は進み、A.D.2016。

 

f:id:gurenraganda343:20190809094449j:image
f:id:gurenraganda343:20190809094453j:image

 

「その日は、呆気なくやってきた」

 

カルデアスに広がる人理焼却の魔の手。

それに対抗するために集ったAチーム。

戦闘スーツに身を包んだ彼らの姿はここで初披露となり、地味だが注目のシーンだ。


f:id:gurenraganda343:20190809094439j:image
f:id:gurenraganda343:20190809094444j:image
f:id:gurenraganda343:20190809094457j:image

 

ロマニとマシュの関係が更に深まっていく回想。

 

マシュと触れ合う中で、他者のために自己を費やすことを体現してきたロマニは、もう新たな定義付けをされた彼女にとっての「先輩」であることは疑いようがないのだが、彼は「僕はまだまだ未熟者だから」と謙遜をし、それを受け入れない。

その謙遜に驕りはなく、彼は最後の最期まで、自分の能力を肯定することはなかった。

 

f:id:gurenraganda343:20190809095852j:image
f:id:gurenraganda343:20190809095858j:image

 

「我らが王は、人を憐れみ、死という前提から救うと言った。私にはわからない」

 

「そうだろう、マシュ。本当に人間にはそれだけの価値があるのかい」


f:id:gurenraganda343:20190809100324j:image

 

「何を好きになり、何を嫌いになり、何を尊いと思い、何を邪悪と思うか。それは、君が決めることだ。僕達は多くのものを知り、多くの景色を見る。そうやって君の人生は充実していく」

 

「いいかい?  君が世界を作るんじゃない。世界が君を作るんだ」

 

f:id:gurenraganda343:20190809100727j:image

 

「永遠の帝国は在り続ける。皇帝が変わり、国が変わり、名が変わろうと」

「それが人の繁栄の理。人間という生命の系統樹

 

f:id:gurenraganda343:20190809101022j:image

 

「悪人が善行を成し、善人が悪行を成すこともある。それが人間だ。それがアタシたちだ」

「だから、望みは誰にでもあるんだよ」


f:id:gurenraganda343:20190809101017j:image

 

「ミスマシュ。夢と願いは違うものです。限りなく現実を睨み、数字を理解し、徹底的に戦ってこそ、願ったものへの道は拓かれる」

 

「貴女は、貴女のために、これからの人生を生きなさい」

 

 

 


バビロニアに至るまでの特異点でマシュが授かった英霊の言葉。

それらは間違いなく、これまでの彼女に変化を齎し、これからの彼女の人生を変えていくことだろう。

 

そんな考えが浮かぶシーンの連続で、これまでの道のりは長く険しかったと改めて認識出来る非常に良い描写でバビロニア0話は幕を下ろした。

 

 

0話でこれだけ高いクオリティを見せられると、10月から始まる本編に嫌が応にも期待が高まってしまう。

放送開始が非常に待ち遠しく思える、良い映像作品だった。